市原グリークラブ

市原市楽友協会の年末コンサートに参加して

 今では年末恒例になった市原市楽友協会の合唱付きクラシックコンサートも、今年で29回を数え盛況のうちに無事終了した。私は仕事の都合で出られなかった9回を除く20回に参加し、バスのメンバーとして歌ってきました。


 今年は丸山豊作詞、團伊玖磨作曲の「筑後川」とグノー作曲の「聖チェチーリア荘厳ミサ曲」に挑戦しました。「筑後川」23分、「荘厳ミサ曲」は50分と演奏時間は例年に比較して短かったのですが、「筑後川」は日本語とはいえ意外と難しく、グノーのミサ曲も同様に一癖があって、最終的にはいつも通りの悪戦苦闘しながら本番を迎えることになってしまいました。グノーのミサ曲は、仏教のお経でいえば「般若心経」のようなもので短い中にすべてが詰まっているような感じの曲で、そのメロディはまさに荘厳にふさわしい旋律と響きを持っていました。


 今年は演奏会が12月1日と早いこともあって、オケ合わせは10月に始まり、夢ホールの2度のオケ合わせを経て、本番前日のゲネプロ、演奏会当日午前の直前練習、そして午後の本番と進んでいきました。


 我々の目標は市民会館1400席を満席にすることですが、今まで実現したことはなく今までの最高は900席程度で、毎回空席が目立つ観客席をステージから眺めてなぜなのか、クラシックがまだまだ受け入れられていない市原市の現状を憂えてきました。今回の入場者は850人、観客の多くは熟年世代が中心で、現役世代と中高学生が極端に少ないことが大いに心配されることです。


 そこで今年は個人的に50人を目標にアルトで歌っている家内と協力して20枚の入場券と35枚の招待券を誰に配ったらいいのか検討して実行しました。その結果、40人以上の人に来場いただきました。40人以上となると全入場者の5%を動員したことになります。オケや合唱の団員の中には入場券が手元に残った人が多いと聞きましたが、団員一人一人が本気で観客を集める動きをすれば満席は不可能でないことを実感した次第です。という私も以前は自分に割り当てられた入場券10枚を知り合いに配るだけで、演奏会当日ロビーでお迎えすることもなく、空席が多かろうが自分の問題として捉えていませんでした。大いに反省するところです。


 演奏会を迎えることで一番重要なことは長時間ステージに立つための体調管理と声帯の保護です。風邪やインフルエンザはもとより怪我をしないこと、喉を傷めないように部屋の湿度を保つために加湿器の活用、マスクの着用は不可欠です。その結果今年はいいコンデションで演奏会を迎えることができました。


 楽友協会では1年1曲のペースでじっくり練習して演奏会に備えます。月2回は日曜日午前2時間、それに金曜日夕方6時30分から2時間15分の月2回の練習で、1年かければどんな人でも歌えるようになります。原語はラテン語、ドイツ語、英語がほとんどで、オラトリオを中心にキリスト教に関係する楽曲のほか日本の合唱曲もオケの伴奏で演奏します。オケと合唱を同時に指導する山本康童先生の指導はまず1段階は最初の3カ月で音取りを完了して、2段階では言葉の意味を理解したうえでの発音発声ハーモニーとしつこいくらいに熱意溢れる指導が続きます。


 我々はプロではないのになぜそこまでしつこく指導されるのか、ついていけない不安や自分の限界さえ感じることがあります。とくに音程には厳しく日本語の持つ末尾で下がる特徴を理解させる練習や、ほかの合唱団で放置されてきた音程の微妙なズレは決して見逃されることはなく、練習では先生の餌食になってしまいます。先生には妥協という言葉はないようで、完全に修正されるまで延々と続きます。そのせいかハーモニーが蘇った時の心地よさはまさに至福の時と申しましょうか心から幸せを感じる時でもあるように思います。練習を終えて帰る時はるんるんとして心が晴れてリラックスしているといつも実感できます。これが精神安定だけではなく健康に大いに関係していることを実感できるのです。


 別のグループで楽しんでいる男声合唱もその重厚なハーモニーが生活の一部となって人生を豊かなものにしてくれていることは確実ですが、混声で歌うクラシックの合唱はまた別の喜びを与えてくれているように思います。20人を超える熟女が絞り出すソプラノの響き、さらに20人を超える淑女が奏でるアルトの響きは重なり合って、その狭間で負けじと張り合うそれぞれ10人未満のテノールとバスを襲ってきます。これらの荒くれを制御しているのが指揮者の山本先生です。1対60の戦いは練習ではいつも先生の一人勝ちで、わずか2時間の練習で完全にノックアウトされてしまいます。でも演奏会ではドローまで持ち込もうと必死の練習を重ね演奏会を迎えます。


 我々は素人の合唱団ですから指導は本番演奏直前まで続きます。いや本番でもタクトを振る先生がタクトを上に向けてもっと音程を“上げてあげて”と語りかけてきます。そのようなやり取りをしながら演奏は続きます。


 今まで数多くのソリストが登場しましたが、この田舎のクラシック演奏会にそれもオーディションもないオケ、合唱団の演奏会に来ていただけるのは山本先生の人脈特に東京芸大のOBとしてのクラシックの世界への貢献と活躍です。これからの日本を背負って立つような若き声楽家が沢山出演してくれました。これらのソリストと一緒に演奏できる機会はそんなにあるものではありません。ステージではソリストのバックで合唱しますが、あの会場を圧倒する声が口からだけではなく広い背中から出ているような錯覚に陥います。それほどの声量なのです。これはステージに立った合唱団しか味わえない楽しみでもあります。バックで聴くソリストの3重奏、4重奏のハーモニーは本当に圧巻です。この楽しみを是非共有したいと思い合唱団に誘ってきました。しかしながら新たに合唱団に入ってくれる男性は少なく去る人に追いつけない年が続いています。このブログを読まれた方で興味がある人は是非一緒に歌いましょう。極端な音痴の人以外は誰でも挑戦する資格はあります。オーディションは全くありません。月2000円の会費だけでこれだけの楽しみができるものは他にありません。


 ということで、練習の成果もあって今年も無事大きな満足のうちに演奏会は終了することができました。


 来年はベートーベン生誕250年の年に当たります。そこで「ベートーベンのミサソレムニス」に挑戦します。喜寿を越え認知症の予防に効果があるという合唱は私にとって必須アイテムです。またまだ達成していない市民会館大ホール満席を目指して、合唱団員新規入団者獲得と観客増員を目指して頑張りたいと思います。


「今年も素晴らしかった。是非来年も頑張って」と言ってくれた人が多かったことが大きな励みになっているのは事実です。


是非一緒に歌ってくれませんか。お待ちしています。


市原楽友協会

市原グリークラブ

Bass桐田

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アリエッタ

袖ケ浦市の女声合唱団 established in